パクパク日記7年1月3週

      ペンギン、ミナミゾウアザラシ、そして氷山・・・白い大陸南極はスンバラシイ!!

ブレーメン号   ジェンツーペンギン

1月 15日(月) 曇りのち晴れのち雪のち雨!!

朝 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

  

6時半起床。昨日から見え始めたテーブル状の氷山の数がぐんぐん増している。1つ、2つ・・・一度に6

つも大きな氷山がゆっくりと流れていく。中には氷の下がそれは美しいブルーの氷山もあるぞ。何かや

っと南極に来たなぁ、って感じでゾクゾクする。毎朝9時船長から朝の報告がある。「南緯60度50分、

気温0度、南南西の風、波2,m・・・・」。そうかぁ、南緯60度の南極収束線を越えたんだ。とはいえ、

海は荒れ退屈だろうと10時からビンゴ大会。その前に氷山クイズの発表。あぁグヤジイ、ちょっとの差

でダメだった。その代わりに一番にビンゴしてあったか帽子とカレンダーをゲット。いよいよ明日上陸。

 ブレーメン号メインレストラン サラダバー、ベーコンオニオン入りレンズ豆のスープ、あんこうのグ

リル 赤ワインソース、ケーキ、コーヒー

  

ランチを摂っていると、左舷側に高い山が見えて来た。クレランス島のアイディー山で標高は2300メー

トルという。海からいきなりニョキッと立っているように見え、氷見線の雨晴海岸から富山湾ごしに見る

白山連峰を思い出した。迫力は比較にならないが。ブレーメン号は、珍しいことに操舵室の見学が自由。

それも緊急の時以外、いつでもどーぞというオープンさだ。しかも今日の午後は機関室まで見学させて

くれると言う。操舵室を見学してから7階のラウンジで素晴らしい景色に見惚れていたら、大きなしかも

ヘンテコな声がスピーカーから流れる。「ウーウーオークジーラ!ヒダーリ!」。鯨が左に泳いでいると

いう船長からのメッセージだった。この時以来、何度もこの「クジーラ」が流れ、その度に客はカメラを持

って右に左に走り回ることになった。部屋で海を見つめていると、あちこちでぴょんぴょん跳ねているも

がいる。カツオの大群か?いや、あれはペンギンだ。ペンギンがグループで漁をしているんだ。何て

泳ぎが達者なのだ。夢中でシャッターを切った。氷山にはたくさんのペンギン達がいる。ここは南極だ。

  

 巨大なテーブル氷山があちこち流れている    海を力泳するペンギン達    低い氷山の上には休憩中のペンギンの姿

 ブレーメン号メインレストラン キングクラブと海老のライトドレッシング風味、サヤエンドウのクリ

      ームスープ、ブルーチーズと洋梨のニョッキ、アンガスビーフのステーキ、アフターエイトペパーミン

      トムース、ビール、赤ワイン

  

  

    コース全部食べるとこうなる

せっかく晴れた天気も雪に変わり、夕刻通りかかったエレファント島は霞んでいた。船の揺れが収まっ

たので、6日間飲み続けた酔い止め薬を止めた。これで酔わなければ、「船に弱い」という意識が抜け

るかもね。雪はやがて雨に変わり、南極の気候が変わり易いことを実感。明日は本当に上陸できる?

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1月 16日(火) 曇りのち雪

 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

酔い止め薬を止めたら昨夜12時まで眠れなかった。なのに今朝は4時起床。ここは南極海峡、通称氷

山街道というだけあって、船の間近にもいろんな形の氷山が流れて来る。海一杯に氷山って壮観だ。

6時半からの朝食を終えたら、いよいよゾディアックボートでの初上陸だ。早めに長靴履かなくっちゃね。

  

  ゾディアックボートで先発隊が向かう  ポーレット島南緯6350分西経5550分  ボクはアデリーペンギンだぞ!

  

   さぁさぁ漁に出かけっまっしょ        カーちゃん、腹減ったぁ・・・さぶー・・・・・     待ってたよー、餌ちょーだい!

7時半上陸開始。下は防水パンツに長靴、上は厚いパルカの上にライフベスト、手袋、耳まで隠れる

帽子を被る重装備だ。カメラはボートの中で海水に濡れぬようシャワーキャップを被せた上、パルカの

下に仕舞いこむ。フィリピン人のスタッフ2人が両腕を掴んでボートに乗せてくれる。日本人12人(ドイ

ツ人は10人)乗るとボートは動き出す。寒いぞ!冷たい海風が露出した顔をビンビン殴るといった感じ

だ。緊張で皆下を見つめたまま。やっと岸に着いたが、下りるのもタイヘン。迎えのスタッフに腕を掴ん

で貰って海の浅瀬に下りる。やっぱ長靴は必須だわぁ。石ころだらけの海岸を歩くと、添乗員リーダー

H谷川氏が現在の位置、見所、帰りの時間の説明をする。これは上陸時いつも繰り返された。雪が

舞って空が暗いのでよくは見えないが、島に近づいた頃からペンギン達の鳴き声が大きく聞こえていた。

ここはアデリーペンギンの営巣地で、狭い場所にぎっしり6万羽のペンギン達が蠢いている。ポーレット

島全体ではこの数年2、3倍に増えていて20万羽いるそうよ。波際に寝転んでいたウエデルンアザラ

シが海に消えて行った。その横には今からグループごとに漁に出るペンギン達が並び海に出て行った。

1840年英国探検家ロスが発見した島でスェーデン隊が越冬した石小屋も南極歴史遺産として残され

ている。今はペンギンの家だけどね。それにしてもペンギン達の糞の匂いが凄い。この島は小さな火山

性のカルデラ島で、寒さが沁みて来たのでカルデラ湖まで行くのはヤメ。ペンギンの子供が愛らしい。

 ブレーメン号メインレストラン サラダバー、ズッキーニのクリームスープ、ドイツ風肉入りラビオリ、

ウォルナッツのアイスクリーム、フルーツ、コーヒー

             (南極写真を多くいれるため、料理の写真は割愛します)

船に戻って来ると、1人づつ長靴や防水パンツについた汚れを水とブラシで洗い流した上で消毒剤に

浸かる。船を汚したくないというより、次の上陸地を守るための処理なのだ。日本人グループの上陸の

次はドイツ人グループ。雪は益々激しさを増し吹雪のようだ。一仕事終えたようでランチは開放的ね。

 ブレーメン号メインレストラン 仔牛肉のクリーミーなツナソース(イタリア)、オニオンスープ(フラン

ス)、じゃが芋のホットケーキ(ドイツ)、アヒルのローストオレンジソース(ポーランド)、冷たいマル

ガリータ(メキシコ)、ビール(ドイツ)、赤ワイン(フランス)

     

船は氷山街道を戻って、アルゼンチンのエスペランサ基地に着いたが、船長から18メートルの強風に

よる高波のため上陸は困難とアナウンスがあった。エスペランサ基地は、初の南極大陸になるので楽

しみにしていたからガッカリ。これで中止になった上陸個所は5つ目だ。この後一体どうなるんだよぉ!

夕刻、これからの予定の説明とオーロラに関する南極アカデミーがあった。南極は時期と場所が限定

されるが、素晴らしいオーロラが見えると言う。しかし、今はその時期でも場所でもないから見えない。

今晩の夕食は「世界の料理」がテーマのようで、レストランの中は万国旗の飾り付けで華やか。各国の

料理がメニューに並ぶが肝心の日本料理が無いじゃないか!ワインと部屋でウィスキー飲み過ぎた。

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1月 17日(水) 晴れ! 今日で阪神大震災から12年

朝 ブレーメン号メインレストラン 7分茹で卵、ハッシュドポテト朝食ヴュッフェ

7時何とかうめきながら起きる。鏡を見ると、瞼がパンパンに腫れて目はただの線のようだ。ヤバイじゃ

ないか。外を見ると風景が一変していた。夜のうちに船は南極半島の東側から西側に移動し、海にい

きなり雪を抱いた高い山々が連なる。スンバラシイ景色じゃあ!ついに来たか、南極って感じがする。

  

    南極半島と島々の間を航行する    海からニョキッと生えたような山は千メートルを越す      珍しく舟影が見えた

午前中ニコハーバーに上陸予定であったがここも強風高波のため上陸は断念のアナウンスが流れる。

また、だよ。度重なる上陸中止で船長は、湾の中の湾であるニコハーバーを考えたらしいのだが、それ

ででも高波ではボートは出せない。天気が良いだけに恨めしい。船内には落胆と怒りめいた感情が渦

巻いている。添乗員を見つけると、「これまでの南極クルーズで上陸回数最悪記録更新ですかね」なん

てイヤミを言う人も(実は私)。それでも、次のポイントでは上陸できると知らされ一気に船内は明るく。

 ブレーメン号メインレストラン 特製ビーフカレー、サラダバー、シナモン入り野菜のクリームスー

     プ、コーヒー

    カレーはもっと辛く願います

ドイツ人は11時にボートで出て行った。私達日本人グループは昼食後の上陸だ。特製のカレーを用意

してくれたが、全然辛くなーーい!善処してー!上陸の準備もあるので、そわそわと食べていざ出陣。

   

      手前にジェンツーペンギンの営巣地    ミナミゾウアザラシ君、遊ぼうよ       ボクたち赤ちゃん軍団だぜー

真ん中の灰色は巨大な氷棚なのだよ   毛がふわふわの赤ちゃんペンギン  黒と白のコントラストが見事でしょ

南緯6449分西経6330分のウィンキー島の北ドリアン・ベイ。近くには英国のポートロックロイ

の基地もある。ここは頭に白い斑紋、赤い嘴が特徴のジェンツーペンギンの営巣地。遥か遠くの高い

山々と手前の営巣地の間にはぶ厚い氷棚が横たわる。こんな景色が南極以外にあるだろうか。カメラ

のシャッターを切る前に、暫しボーゼンと見惚れた。おっ、ミナミゾウアザラシが昼寝している。昔、ミナ

ミゾウアザラシ君と渾名をつけられた尾崎君、どうしているだろ。昼寝から目覚めた彼に人?ナツコイ

ペンギン君が何のかんのと話しかけている。隣では、ふわふわした毛でまんまるの赤ちゃん達が集ま

ってピーピー鳴いている。喧嘩もする。おっと、苔を踏みそうになってドイツ人の講師に注意される。長

い間かけて成長して来た植物は貴重なのだ。賀状代わりの挨拶状用の写真(下段左)を撮れて満足。

 ブレーメン号メインレストラン トマトの前菜の盛り合わせ、ルッコラのクリームスープ、兎肉のミ

      ートスパゲティ、野豚の蒸し煮 ベリーソース (今晩はデザートも酒も無し!)

  (南極写真を多くいれるため、料理の写真は割愛します)

            夕食レストランでビールやワインを飲んだ後は部屋でウィスキーを楽しむ。未だ3本あるぞ ひひひ

晴天での上陸が果たせて皆上機嫌。大瀬先生を囲むテーブルに座って楽しいお話を伺った。ズグロム

ネジロヒメウは頭黒胸白姫鵜と字を思えばすぐ覚えられるとか南極でのハゲタカ的存在トウゾクカモメ

(通称:トウカモ)は人間も襲うから、頭の上に高いモノ(傘とか棒とか)を出せば良いとか色々教えて頂

いた。ドイツグループは夕食の前にジャグラーポイントにも上陸したが、波が高くなったので日本グルー

プは天候が回復すれば食後出かけることになる。夜9時半にだよ。私は夕食の酒も止めて備えたが、

メンドーになってパスし、皆の上陸風景を撮影していた。その代わり日没の撮影をする。この地点の日

没は午後1042分。完全に暗くなるのは真夜中だ。日の出は332分。暗いのは数時間でである。

  

     我ら南極探検隊がボートに乗って       日没までは未だ時間がある          美しい夕焼けが長く楽しめる

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1月 18日(木) 快晴!!

朝 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

昨夜12時まで夕陽を撮影し、今日は日の出を撮影するために3時半に起きた。なのに、雲が厚くかか

っていて、ほんのりピンクになった雲しか撮影できなかった。寝不足なのにあーあ。615分、ラウンジ

でコーヒーを飲んでいると、こんなに早くから船長のクジーラアナウンス。ミンク鯨とザトウ鯨数頭があち

こちで潮を吹いている。あいにくカメラ持ってないんだよね。朝日に煌く海にたくさんの鯨。凄い光景だ。

6時半からそそくさと朝食を摂り、7時半には上陸開始。南緯644分西経6238分のクーヴァー

ヴィル島である。ウェットランディングも数度目となり、おっかなびっくりだった上下船もだいぶ慣れて来

た。今日は気温が5度とあって、厚いパルカを着ているから暑くてたまらん。南極の日差しは紫外線が

強いから日焼け止めクリームは必須。上陸案内をするH谷川さんの顔が日に日に黒く焼けて来る。海

岸には、打ち上げられた鯨の大きな骨が散在していた。ここもジェンツーペンギンの大きな営巣地だ。

    行ってきまーす、がんばりまっしょ    ただいまー、大漁でお腹パンパンでっせ    これ全部ジェンツーペンギンです

  

     こんな風にゾディアックボートは走る            ぼくたーち家族だじょー         遥かに見えるブレーメン号

昼 ブレーメン号7階プールサイド ブレーメン・フェスティバル・バベキューパーティ ソーセージ、

      ベイクドポテト、とうもろこし、巻寿司、サラダ、水餃子

  

      ギラギラ太陽の下でのランチ      プールサイドは無料ビールで盛り上がる      飛び込み君と落とされ君

9時には早くも船に帰った。暑さで汗びっしょり、下着から全部着替えた。10時半から最上階7階の上

にある屋上でグループごとの集合写真撮影会。今日のランチは、7階にあるプールサイトで「ブレーメ

ン・フェスティバル」と銘打ったバーゲキューパーティ。大勢のスタッフが会場の飾り付けや設営におお

わらわだ。フェスティバル日和でよかったね。11時半パーティ開始。肉や魚のバーベキュー、丸々1つ

のポテト、巻寿司、ヘンテコな水餃子などの屋台が並ぶ。今日は船長からビール飲み放題と嬉しい(昼

間飲まない私にはカンケーないけど)知らせに歓声が沸き、老いも若き(ごく少数)もビールのジョッキを

ごくごく空けている。ヨーデル風の音楽ががんがん鳴り、ドイツ人の中には踊りだす人も。そのうち、ス

タッフのスケープゴードが洋服のままプールに投げ込まれ、続いてわれらがT内添乗員が自主的に飛

び込んでやんやの喝采を浴びていた。そんな賑やかな会場から離れて屋上に佇めば、周囲は360

真っ白な雪で覆われた山々、上を仰げば、雲の周囲が七色に光る彩雲(さいうん)やレンズ雲、そして

太陽の外に大きな輪郭を描くハロー現象がいっぺんに見ることが出来て感動しちまった。南極凄い!

  

       四方八方真っ白な山々が続く        下が彩雲、上の円がハロー現象            これがレンズ雲

船は昨日上陸したウィンキー島の北ドリアン・ベイに戻り、英国のポートロックロイ基地に午後上陸する。

1944年に建てられた英国最初の南極観測基地で、現在は1996年南極史跡として認定されて小さな

博物館となっている。ここに設置されているポストで投函すると、2、3年のうちには到着するハズだって

さ。当時のままに保存された博物館は居心地は良さそうだが、越冬となるとねぇ、タイヘンだ。暑い今日

の気温は更に上がり、赤ちゃんペンギン達が岩の上でへばっていた。その横では、ペンギンの餌を攫う

性格悪い白い鳥(名前不明)や赤ちゃんペンギンを襲ってムシャムシャ食べるトウゾクカモメもいたぞ。

   

 1944年作られた英国のポートロックロイ基地     数年後には到着するでしょう     右の黄色のパルカ姿は大瀬先生

ペンギンの餌を狙う根性悪い白い鳥       カーちゃん、ボクにも餌おくれ!      トウゾクカモメが赤ん坊ペンギンを食べる

夜 ブレーメン号メインレストラン マカジキのメダリオン、サワークリーム入り魚のスープ、ハムとポル

チーニ茸のリゾット、野菜入りロールキャベツ、アイスワイン風味ゼリー、ビール、白ワイン

           (南極写真を多くいれるため、料理の写真は割愛します)

夕食はここのところフルフルコースを食べているのでメインはベジタリアンメニュー。え?野菜入りロー

ルキャベツ?果たしてキャベツの中にはみじん切りの野菜が入っているのだった。美味しくなかった。

ドイツ人グループでは、既に少なくても5人の誕生祝いをやっている。然るに日本人グループは人数が

多いのにゼロ。ヘンじゃないか!差別かぁ?なんて思ったが、どうやら大勢いるので「まとめて」というこ

とにしたらしい。で今晩その合同誕生祝い。何と7名もいらしたのだよ。お祝いの松明と大きなケーキ。

  

        10時でもこんなに明るい    200枚撮ってやっと鯨の尻尾を掴まえた!       南極の海に沈む太陽

夕食が終る9時頃になっても、外は白と青の素晴らしい景色が続く。やがて太陽が沈みかけた時、また

船長の「クジーラ!ミギ!!」の放送。ウィスキーを飲んでほろ酔い気分だったが、パジャマ姿でベラン

ダに出る。おうおう、盛んに潮を吹いているわ。数頭いるなぁ。30分も撮影したら酔いが醒め飲み直し。

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1月 19日(金) 今日も快晴!

 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

  

       ルメール海峡を北から南に通過する          右下に船首が小さく見える            一番南側の山

540分起床。6時から美しさで知られるルメール海峡を通過する。急いで着替え、カメラを持って屋

上に急ぐ。おおっ!両脇に高い山がV字型に迫り、鏡のような海面を船は進んでいる。エンジン音以外

の音は全くせず厳粛な雰囲気。途中曲がりくねった個所では出口が塞がれているかのように見える。

一番狭い場所では幅が150メートルで、船を操る立場では難所でもあるらしい。寒さの中の感動の時。

730分からドイツグループの上陸が始まる。今日は南緯65度7分西経648分のピーターマン

島で、今回訪れる最南端の土地だ。因みに南極圏とは正式には南緯6633分を越えてからを言う。

9時日本人グループでは1番ボートに乗った。海岸近くの黄色テントはアメリカの調査チームのもの。

調査用のヨットも浮んでいる。トウゾクカモメの営巣地では見張りが目を光らせている。雪山を越えて対

岸の氷河を見て、アデリーペンギン、ジェンツーペンギンそして青い目の鵜の混合営巣地を見に行く。

  

 今回訪問地の最南端 H谷川氏の顔も真赤   見張り役のトウゾクカモメが目を光らせる         トウカモの営巣地

  

     避難小屋がいくつかの島にある。               僕らは仲良し三羽組          雪山、ヨット、船、ペンギン

朝北から通過して来たルメール海峡を今度は南から北へ戻る。海峡の海面には朝には無かった流氷

がいっぱいに広がりまた別の景色である。海面は飽くまでも静まり、逆さ富士ならぬ逆さ雪山を映し出

している。船が流氷を追い越すとその上で昼寝中のアザラシ達が目を覚ます。びっくり顔で歯を剥く。

  

         朝から流氷がグンと増した    鏡のようなルメール海峡を静かに進む      昼寝していた2匹のアザラシ

 ブレーメン号メインレストラン サラダバー、スモークポーク入りポテトとネギのスープ、リコッタ

      チーズとほうれん草のラビオリパスタ、アイスクリーム、コーヒー

        (南極写真を多くいれるため、料理の写真は割愛します)

午後4時アルゼンチンのアルミランテ・ブラウン基地に上陸。初の南極大陸に上陸だ。これまで大陸上

陸の機会はあったが悪天候で実現せず。大陸の尻尾であっても一歩足を踏み入れたという満足感が

ある。パチパチパチ。しかし、昨年ここで3人の観光客が命を落とす事故があり、昨日危険な場所に近

づかないよう厳重な注意があった。せり出した棚氷の上に乗り、崩落した氷と共に海に落下したらし

い。かつてこの基地で越冬がイヤになった一人の医者は基地が無くなれば越冬は免れると建物に放

火する事件があったそうだ。医者ともあろう人物が、幼児にも劣るそんな浅慮を実行してしまうという禍

が、昨年の事故を引き起こしたのだろうか。焼失した建物の脇で修復している人々がいた。ここから見

る海は皮肉なことにパラダイス湾。急な雪山を登った後は(私はもちろん登らんよ)、パラダイス湾クル

ーズ。この頃日が翳って、曇りの寒いクルーズにはなったが、巨大な棚氷を真下から眺めて迫力は十

分であった。もうすぐ船に着く頃、突然鯨の群れに囲まれた。何頭もいる。余りにボートに近づいて来る

ので転覆するか不安になる程。写真を撮ると、画面が鯨一杯で何だかわからない図柄となっちゃった。

  

           南極大陸を一歩づつ踏みしめ         右のオベリスクのような形         これ全部鯨のカラダだす

 ブレーメン号メインレストラン プラリネとトリュフの蜂蜜風味パフェ、パンの器入りエスカルゴのクリ

      ームスープ、ソルベ:シャンパンシャーベット、ヒメジのグリル、シャンパンソース、カモミールティ、リン

      ゴの赤ワイン煮、ビール、赤ワイン

  

今日は朝から忙しかったなぁ。ルメール海峡を往復し、最南端地と初の南極大陸の訪問。それにたくさ

んのアザラシ達に会った。こんな日は気分よく、お腹も空くし、喉も渇く。美味しい料理とお酒であった。

              _________________________

1月 20日(土) 曇りのち晴れ

朝 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

5時半に目が覚めると、船が大きく揺れている。ここのところずっと静かだったからびっくり。慌てて久々

の酔い止め薬を飲み込む。こんな天気じゃ、今朝の上陸は中止やね、と着替えもせずにいたら、添乗

員のHさんは「船長は湾に入れば波も静かになるでしょうと言っていました」って。朝の上陸予定地は

デセプション島の温泉だよ?入る人は水着だよ?私は撮影班に回るから入らないけどね。7時、危険

な個所のネプチューン・ベロウ(海神の喉笛)を通過。7時半、波が高いので温泉は午後に回して他に

行くとアナウンスがあり、各部屋から罵声が聞こえる。せっかく来た水着どないしてくれるねん、ってね。

8時半、強風の中をテレフォンベイの上陸が始まった。寒そうなので私はパスしてデッキで眺めていると

10分もしないうちに汽笛が何度も鳴って帰船命令が下る。ね、行かない方がよかったでしょ。怠け者!

 ブレーメン号メインレストラン サラダバーミネストローネスープ、ナシゴレン、フルーツ、パンナコ

ッタ、アイスクリームピーチメルバ、コーヒー

  

午前中は酔い止め薬の影響で、読んでいた本をとり落とし、椅子の上で爆睡。酔い止め飲んだら運転

はアカンね。あっ、免許持っていなかった。デセプション島を諦めて船はハーフムーン島へ。ランチの間

温泉が延期になった、上陸した途端帰船命令が出て波でずぶ濡れになったとコボス人が多い。ハーフ

ムーン島に到着すると先客あり。南極条約で、1箇所に百人以上同時に上陸してはならないという規定

があり、ロシア船が出て行くまで沖で待機。3時上陸開始。ハーフムーン島は名前の通り湾曲した細長

い島で、上陸地点の反対側にはアルゼンチンのカマラ地区もある。ここはアゴヒゲペンギンの営巣地と

いうことで楽しみにしていた。口の下に黒い線があり、まるでアゴに生やした髭のように見えることから

そう呼ばれる。マゼランペンギン、アデリーペンギン、ジェンツーペンギンと見て来たが、愛嬌があると

いうことではこれが一番だ。それにしても王様ペンギンを見逃したことが悔しい。ひげ君可愛いよ!!

  

    海が無ければヒマラヤだ、と思わせる景色         ワタシはアゴヒゲペンギンでーす!可愛いでしょ?

夜−1 ブレーメン号メインレストラン ビーフのテリーヌ、生姜風味のさつま芋のクリームスープ、ポ

     ルチーニ茸と帆立のラザニア、ラタトイユ、芥子の実のフローズンパフェストロベリーソース

       (南極写真を多くいれるため、料理の写真は割愛します)

夜の上陸に備え、今晩は酒抜きの食事。波は荒くても天気は良い。720分だった。左舷を背中にし

ていた私は何気なく振り返ると、海がどんどん遠くなる。あら?と思って正面を向くと反対側右舷側の窓

から海が迫っている。あちこちでキャーという叫び声が聞こえ、船は大きく右舷側に傾く。同時に7,8人

が椅子ごと倒れていく。レストラン中央の調理台から皿が一斉に落ちて行く。目測15度位右に傾いた

船はそのまま進んで行くのだ。私は傾いた船の一番上の席に座っていたが、しがみついていないと傾

いた方に落ちてしまう。必死だ。その状態が10分以上続いて、やがて船は安定航行に戻った。ほっ。

夜―2 ブレーメン号ラウンジ 南極氷山ロックシーバスリーガル 4.6ユーロ

    グラスに耳をつけるとパチパチと音がする

南極の温泉はペンギンと並んで人気スポット。船長は再びデセプション島に向けて船を進め、可能なら

ば夜9時頃上陸と言っていたが、結果は中止。「友達に温泉誘われたんやけど、南極で温泉入いるか

らいいわって断って来たのにどないしょ?」と泣き面の人もいた。私は5階のバーで、南極氷山ロックの

ウィスキーを飲む。氷が溶ける時パチパチと何千年、何万年前の気泡が弾ける音がする。太古の音。

              ____________________________

1月 21日(日) 快晴

朝 ブレーメン号メインレストラン 朝食ヴュッフェ

今日の午後から船は帰路につくから、午前中の上陸が南極半島アタリの最後のものとなる。9時半か

らアイチョー群島の一つバリエントス島に上陸。ここにはジェンツーとアゴヒゲペンギンの営巣地がある。

カラダの大きいジェンツーがヒゲをイジメル様子をあちこちで見る。アゴヒゲ、負けるんじゃないよ!お

天気が良いからか赤ちゃんペンギンは昼寝中が多かった。眠りながら羽をばたつかせて。夢見てる?

  

     左ジェンツー、右ヒゲ イジメルな!     ねぇ、みんな昼寝し過ぎだよー   早く大きくなって自分で餌取りなさい!

 ブレーメン号メインレストラン サラダバー、特製ちらしすし、鮭の刺身、クリアーポテトスープ、ビ

      ーフのスパイシー炒め、コーヒー

  

上陸を終えてホッとしたのも束の間船は帰路につき、ホーン岬を目指して動き出した。途端に船は揺れ

始めて、またもや酔い止め薬を服用。大揺れの中、昼飯には特製のチラシ寿司が用意されていたよ。

午後のおやつ ブレーメン号ラウンジ 氷山の氷レモンチョコレートケーキ紅茶(写真は上の右)

例によって食後は爆睡し午後3時の南極アカデミーが開始する前ようやく起きる。テーマは「昭和基地

物語前半」。第一次観測隊から参加されいる大瀬先生の名調子が子守唄となってね、イカンね。講座

後、氷山の氷を削った氷レモンとウィスキーのロックがサービスされた。氷レモンのついでにケーキも。

 ブレーメン号メインレストラン グリル野菜のテリーヌ、クリームトマトスープ、チーズスフレオニオン

     ソース、フィヨルド産サーモン バーブソース、パッションフルーツのヨーグルトムース、ビール、赤

     ワイン

  

今晩から魔のドレイク海峡に入る。往路は3日もかかった海峡だ。その上帰りは向かい風。来た時のこ

とを思い出し、机やテーブルの上のものを全部片づけ眠りにつく。明日は大きな嵐が待っているのか。

              ___________________________

【今週の振り返り】

みなさん、自分が住んでいる場所が地球の座標で示すならどこか言えますか?住んでいる場所でなく

ても、そう大雑把に日本はってことでもいいですよ。日本は西半球?東半球?北半球?南半球?小学

校の理科の時間みたいになってきちゃったなぁ。大人のみなさんは東半球で北半球って答えられまし

たよね。私の住む東京都新宿区は北緯3541分、東経13942分。そういえば高知市に「333」

と名前のつく民間放送局があった記憶がある。高知市は北緯3334分、東経13332分だからつ

けたのだろうな。なんてエラソーに言ってはみたが、普段緯度経度なんて意識している人はほとんどい

ない。しかし、南極に行くと経度はともかく、緯度はとても気になる重要な指標であった。

南に進むと南緯60度線がある。その円線を「南極収束線」と言う。更に南に進み「南緯6633分」を

越えると、そこからが「南極圏」となる。つまり、夏至に太陽が沈まず、冬至に太陽が出ない地域であ

る。日本の約37倍の面積を持つ南極大陸はほぼその南極圏にすっぽり収まる。それでもちょっとづつ

はみ出していて、私が今回訪れている南極半島もはみ出している場所だ。ヘンな言い方だが、大きく南

極には行ったが、「南極圏」には到達しなかった。因みにこの南緯60度から南の海域と陸地はどの国

の所有権も有しないと南極条約で定められている。

南極大陸は世界で5番目に大きな大陸だが、どこよりも標高の高い大陸でもある。平均標高は2743

ートル、最高地のヴィンソン・マシフ山は4876メートルの高さだ。但し、その標高を押し上げているの

は氷山。毎年1メートル位降る雪が解けぬまま次の年の雪が降り、下に行く程雪は圧縮されて氷とな

る。よって、氷の下は何千、何万、何十万年前の雪が凍っていることになる。日本の観測地点の一つド

―ム富士は厚い氷を掘り下げて太古の研究をしているが、3千メートル下の氷は実に72万年前のも

のと言う。その氷の気泡やら何やらを研究することによって、当時の気候などがわかってしまうってこと

ね。地図で見ると、南極半島は、南極大陸が魚のエイであったなら、その小さな尻尾ほどの存在だ。し

かし、エイの尻尾の氷が全部溶けたら、地球の海の水位は6メートルも上がると言う。あっちゃ、新宿

区は沈むわ。23階だから大丈夫?そういう話じゃないでしょ、今は!!大陸全部の氷が溶けたら、そ

れは60メートルになるという予測もある。恐ろしいので考えないようにしたい。地球上の淡水の90%は

氷となって南極にあると言う。

南極に対する北極だが、地球温暖化の影響で氷がドンドン融けて、北極熊やあざらしなど海が氷ること

を前提に生息している動物達の生存が危ういと伝えられている。それでは南極はどうか。旅の間で遊

んだ「氷山発見クイズ」の答えは南緯58度の地点であった。この十数年で一番北になるという。棚氷か

ら落ちる氷山の動きが活発ということなのだろう。亜南極の王様ペンギンや岩とびペンギンが減ってい

る一方、温暖化すると植物性プランクトンが増殖し、餌が増えるアデリーペンギンやジェンツーペンギン

2倍にも3倍にも増えているらしい。気温が上がると雨が増え、従って雪も増えるから、氷山の流失

が増えても氷は補充できるという考えられている。

オゾンホール。大気汚染によるオゾン破壊の問題は、今や世界中の焦眉の課題であるが、このオゾン

ホールを発見したのは昭和基地でのこと。1982年昭和基地の観測隊が南極大陸上空でオゾン層に穴

が空いたようなオゾンの減少を確認したのである。

毎日ご馳走食べて、大酒かっくらって、ペンギン可愛い!って写真バチバチ撮っていたばかりではない

のだ。私はちゃーんと南極で地球のことを考えていたのであーる。(ぷっ)

来週はドレイク海峡を越え世界の最南端ホーン岬に行きます。果たして上陸できるのか。乞うご期待。

             ペンギンちゃんの中に入るとキマリ悪いニャア

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      南極の旅の始まりは 1月 2週に 掲載されています

      あと1週分、がんば! 風邪がヒドクて洟すすってやってますのや・・・・シンド